松下 一平

まつした いっぺい

 

1984年生まれ 伊那市在住

 

 

Story

支援者 ゆめわーく 唐木 まさ子

 

東京生まれ。高校卒業後に父の出身の伊那へやって来た。
以前は、ノートに描いていたが、最近は家で用意してくれているA4 コピー用紙に描いている。松下さんは、電車や路線図が好きで、目で見て正確に路線を描いている。施設利用者の仮眠室に、座布団を引いて正座をして描いている。松下さんは、カレンダーの裏やA4 コピー用紙やノートやスケッチブックに描いている(ツルツルしていない紙が好き)。松下さんの作品は、東京在住中によく見ていた鉄道の絵を描いている。路線図がどんどん増殖し、地図のようになっている。駅名等も描かれていて面白い。最近は、文字、個人名、みかん、オレンジ、地名等にこだわりがあり、それが作品に反映されている。常に松下さんの頭の中にあるものが、繰り返し登場するようだ。

 

 

 

 

 

Suteki

マツシタサン ノ ステキ

 

圧倒的な情報の波に飲み込まれかけた。段ボールにぎっしり収まった大量のノート。言葉が出ない。出る必要もない。こうゆう絵やアートの魅力って、説得力で、参りました、ってなる。質より量とか、量より質とか、いろいろ言うけど、量そのものも質なんだな、と思わされる。
障がい者アートの世界では、電車はごくごくありふれたモチーフで、定番と言っていいくらいだ。ただ、そこに地図とか地名とかが入るのは、少しだけ珍しいのかな。作者の関心が、電車そのものだけではなく、それを取り巻く環境にも向けられていることが分かる。
紙が破れるほど強い筆圧で記された、記憶の欠片たちは、ただの記憶の記録ではない。日々の暮らしの中で湧き起こる、行き場のない感情や、収まりきらない想いの、終着駅でもある。
何を描くか、何が描かれているか、だけを見ていては、絵を見たことにはならない。描く、行為そのものにも価値がある。作者の想いを観ることが、絵を観ることだ。 ( 森泉 智哉)

 

 

 

 

主催  長野県 | ザワメキサポートセンター
共催  長野県教育委員会 | 信州アーツカウンシル(一般財団法人長野県文化振興事業団)
障害者芸術・文化祭のサテライト事業
長野県県民芸術祭2023 参加

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