川手 きわ

かわて きわ

 

1964 年生まれ 飯田市在住

 

川手さんは、生活が思うようにならないとか、つらいことがあるといったネガティブな内容の文字を紙にひたすら書いていく。書き終わると、彼女はその上から絵の具でひまわりを描き、文字を消していく。そのひまわりの色は、明るい時もあれば時として黒だったりする。それらの色は、その時々の彼女の状態と関連しているようだ。

 

 

「ひまわりと字」
鉛筆、水彩絵の具、紙

 

 

2018年図録より

 

絵の具で色が塗られたその下には何やら言葉らしきものが書きなぐられている。どうやら、「さようなら」「くび」「ばいばいですね。」「ねずみいろ」「○○さんおバカ」「きらいですね」などというネガティブな言葉らしい。そしてその上に否定するかのように黒の絵の具で塗りつぶされていたり、逆にヒマワリの絵だと言って明るい色も塗られてもいる。
作者は両親が亡くなり、現在福祉施設で暮らしているが、スタッフによると、自分が迷惑をかけたから両親はいなくなった、自分は悪い子だから大切な人に嫌われる、大切な人がいなくなる、といったネガティブな想いが作者を支配しており、そんな気持ちが高まると、紙を強迫的に要求し、床にうずくまって何枚も同じ言葉を反復的に書くのだそうだ。自分を襲うネガティブな感情に振り回されている作者だが、このように表現し続けることで何とか自分を保っているのだろうか? 作者の切実な感情が吹き荒れる心と、穏やかさを取り戻そうとする心が作品に現れている。そして何よりそれを見守るスタッフの温かいマナザシがある。(関)

「ひまわりと字」2018

主催  長野県 | ザワメキサポートセンター
共催  長野県教育委員会 | 信州アーツカウンシル(一般財団法人長野県文化振興事業団)
障害者芸術・文化祭のサテライト事業
長野県県民芸術祭2023 参加

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