カラフル~ナたいすけ

 

1988 年生まれ 上田市在住

 

 

迷いの無い黒線は輪郭としての形を成し、その自由な線に囲まれた領域は色面となって、色調を変化させながら連なってゆく。その風景を例えるのであれば、〝虹色のスペクトル” が映し出された世界である。「カラフルな絵を描こう協会」の会長として絵を描く〝カラフル~ナたいすけ” は、町や建物といった場所から、人物を含めた場面までをも虹色に染めあげる。
“Colorful” という英語は直訳すると「色鮮やか」となるが、この「鮮やか」という言葉は現代において特定の秩序や常識、そして世俗的な流行に縛られている。デザインやファッションなどで構成されるカラーバランスを崩し、配色という法則をキレイさっぱり捨て去った世界のカラーリングは予想以上に荒廃しない。もともと自然の中に色彩は溢れているのだから、むしろ解き放たれた色は他色と影響し合わない固有の奔放さを発揮するのだが、隣り合う色と混ざり合うことも無ければ、反発し合う事もない。カラフル~ナの画面は、それぞれの発色が存在感を放ち、対して全体が滑らかで不思議な調和をもたらす図像となっていることに気づかされる。
カラフル~ナの眼にはどのように世界が映っているのだろうか。それはおそらく、美術としてのみ受容可能な視野であると同時に、現代人がそれこそ現代の様式というフィルターに邪魔されて普段はみることができない、超自然的な色彩の開放と凝縮の風景なのだろう。これはなんとも清々しい野生のカラーリングである。(鈴木一)

 

 

「カラフルな上田中央消防署」 2018

主催  長野県 | ザワメキサポートセンター
共催  長野県教育委員会 | 信州アーツカウンシル(一般財団法人長野県文化振興事業団)
障害者芸術・文化祭のサテライト事業
長野県県民芸術祭2023 参加

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