如月

きさらぎ

 

1971 年生まれ 長野市在住

 

如月さんが表現する文字は二つの意味を持っている。その字が本来持つ意味と、独自に添えた読み方としての意味だ。「生きていくことはきれいごとではない」と如月さんは言う。生きていく中で抱える痛みや矛盾、疑問、迷いを作品に込めている。

 

 

「残虐~生きる~」(左)  「こころ」(右上)  「清」(右下)

筆ペン、紙

 

 

2018年図録より

 

「チェインギャング」(絵)を見ていると、劇場にいるような気がしてくる。舞台の場面はクライマックスで、俳優たちが音に合わせて演じている。楽しそうなのに切なさがあって、悲しそうなのに明るい希望が感じられて…袖幕にいる猫は誰だろう。きっと目の前にいるモノたちのメッセージを受け取り、その表現に隠された大切な意味に気づいているに違いない。
この作品は“残虐” という言葉を筆ペンで描いたところから生まれたという。作品は2 つでひとつ、それゆえ表現された文字はモチーフとして、漢字の通りには読まず、 “残虐” には「生きる」というタイトルがつけられている。
「生きていくことはきれいごとではない。誰かを守ることは、誰かが苦しむような気がする。」と語る如月さんの制作に対する姿勢は真剣で、スケッチをし、線や形、色、構成に神経を使い追求していく。
“笑”「君のために、僕のために」、“苦中”「喜び」、“感性”「仕合わせ」など、独特のユーモラスな文字( モチーフ)からは、暮らしの中で大切にしている作者の想いが感じられ、ほろりとさせられる。その源は、生きていく中で抱える痛みや矛盾、疑問や迷いを、自力で解決していく作者自身の強さにあるのだろう。(坂田)

 

 

「チェインギャング」(絵)+「生きる」(文字“残虐”)2018

主催  長野県 | ザワメキサポートセンター
共催  長野県教育委員会 | 信州アーツカウンシル(一般財団法人長野県文化振興事業団)
障害者芸術・文化祭のサテライト事業
長野県県民芸術祭2023 参加

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