前沢 好寛
まえざわ よしひろ
1969 年生まれ 駒ケ根市在住
前沢さんはお墓や棺桶、骨壺などのお葬式に関するものをミニチュアサイズで作っている。本人は「死にたい」と言うが、その言葉にはネガティブな意味だけではなく、うまくいかない自分の人生をリセットして新しい人生を歩みたいという希望も含んでいる。事実、この作品が、彼の苦手だったコミュニケーションのきっかけになっている。
「お墓シリーズ」
木、鉛筆、紙
利用する福祉施設の廃材を自室に持ち込み、それを切ったり削ったりして小さな作品を作っている。 本人は言葉を発しないが、筆談やジェスチャー、そして作品をプレゼントするなどしてコミュニケーションをとることが可能。 今回の作品は、お墓、棺桶、六文銭、骨壺などで、本人にしてみれば「死にたい」とか、「苦しい気持ちの表現」など、ネガティブなイメージで制作したものだが(ちなみに棺桶の中の人間は自分とのこと)、実はたくさんの人に自分の苦しさを伝えたいだけでなく、他者とつながり、いずれ自立生活をしたいとの希望がある。 そして木を使ったモノづくりをしてそれが仕事になることを希望している。そんな背景で制作された作品群だが、実際に本人にお会いすれば笑顔が絶えずあり、作品からはなぜかユーモアさえ感じる。 なぜこんな表現をするのか?ますます知りたくなる。