向山 政則
むかいやま まさのり
1974 年生まれ 駒ケ根市在住
福祉施設の一角にある向山さんの専用ブースは、彼の宝物で溢れている。手描きのメモ、新聞記事、そして無数のトランプが、壁全体に貼りつくされ、机の上も同じように埋められている。その場所は無秩序に見えるが、彼独自のルールがあるようだ。
「無題」
言葉を発しない向山氏だが、利用する福祉施設の一角に作られた本人専用のブースには、さまざまなメモのようなことが書かれており、そこにはベートーベンなど音楽家の生誕や難しい言葉が書きなぐられている。 そして最近ではそのメモの上にトランプが無数に貼られ、まるで「ここは僕だけの大事なバショだ。」と言わんばかりの空間となっている。 執拗なまでに大量のトランプを貼り重ねるのは何を意味するのか? 施設生活において支援員は忙しく動き回り、なかなか自分とはじっくりと向き合ってもらえない。 そんな生活の中で、切実な自分主張をしている行為なのかもしれない。 自分が気になった事柄、言葉を書き止めていく、そして一見、無秩序に貼り付けられたトランプや時計…。 何を意味するのかわからないだけにそそられるのである。