富安 ルカス 弘一
とみやす るかす ひろいち
1995 年生まれ 松本市在住
富安さんが創り出した空想のロボットだろうか?まるでレントゲン写真のように体の内部が透けているようにも見え、体内には複雑な模様や文字が描かれているのがわかる。彼は言葉でのコミュニケーションができないため確かなことはわからないが、ブラジルと日本にルーツを持つ富安さんらしさを作品から見つけることができる。
「無題」
油性マーカー、鉛筆、紙
日々通う通所施設で、ほかのメンバーとともに作業にも参加するが、いったん絵を描きだすと本人専用の机に向かって、自分の世界に没頭する。 古紙回収で集めてきたチラシなどの裏に、不思議な見たこともないロボットらしきものが生まれる。 決して真新しい画用紙には描かないらしい。養護学校時代からこんなユニークな絵を描いてきたようだ。 このロボットのような絵に近づいて、じーっと見ていくと、その中にはまるで精密機械がびっしりと仕込まれたような、線と言葉がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。 なんでも時代劇や戦隊モノのテレビや本が大好きだそうだ。そして多分街の中で見てきた看板や、本の中にあった文字や言葉を組み合わせ直した、ユニークな『トミヤス語』もちりばめられている。 はて?このような図柄はアンデスのマヤ文明とかインカ文明の古代遺跡の石に刻み込まれていた模様のような気もしてくるが・・・・。 いや地球以外の異次元の文明をもった生命体からのメッセージかもしれない、そんな錯覚を覚える。 言葉によるコミュニケーションが難しい作者からは、その意味を聞くことはできないが、ぎゅうぎゅうに描き込まれたこれらの絵にただ圧倒されるのである。