Hetecoi
へてこい
1986 年生まれ 長野市在住
重い自閉症であるHetecoi さんは、自分の部屋で紙を破り、まき散らす行為を続けていた。彼女は、まるで破ることが自分に与えられ仕事のように、熱心にひたすら続ける。その行為が彼女に安らぎを与えるのか、納得するまで破り続けると、彼女は毛布にくるまり深い眠りにつく。
Hetecoi さんは、本をパラパラめくりながら破いて、あっという間に紙切れにしてしまう。 まるで、マジシャンがトランプを切るように、器用な手先をすばやく動かして、紙をどんどんちぎっていく。 自宅の部屋にこもると、部屋中が紙片で埋まる。 散らばった色とりどりの紙に囲まれ、その中で布団にくるまれて寝てしまうこともある。 小さい頃、少なくとも小学1、2 年生のころから、なんでもびりびり破り、部屋にばらまいていた。マンガ雑誌、通販雑誌や電話帳、お気に入りは移り変わったが、ちぎるということは変わらない。 今は毎日施設に通って少し軽作業もしているが、多くの時間は、布をかけた紙製のプールで区切られた自分の場所で紙を割いている。 Hetecoi さんは「やぶる」ことが、自分のやるべき仕事であるかのように、それをひたすらに続けている。 紙をちぎる行為が、彼女にとっての生であり、紙片はその成果物である。