吉田 雅美
よしだ まさみ
1982年生まれ 北佐久郡立科町在住
Story
「絵本作家になって、私らしく生きたい!」自身で絵本や紙芝居を作る吉田さんにはそんな夢があります。吉田さんが朗読をするようになったきっかけは、好きな相撲の図鑑を読んでいる時だったと思います。「好きなお相撲さんは?」「横綱はどの人?」と尋ねると、名前・出身地・相撲部屋など、その力士に関する情報を詳しく読み上げてくれました。始めは、ただコミュニケーションの一つとして片言に話す程度だったのですが、たまたま班室に置いてあった短編エッセイ集を渡してみると、大変興味を持たれて朗読し始めました。その後、施設の皆さんに読み聞かせをする活動も行い、それが今に繋がっているようです。生活でも、たいていの時間は自身の居室で好きなテレビを観て過ごしていて、自分から進んで人に話をするタイプではありません。なので、こんなにたくさん吉田さんの声が聞ける朗読の時間は、とても大好きです。
zawameki artiens
あたたかい缶コーヒーを飲み終えると、吉田さんは日記を手にし、朗読を始めました。4 月5 日の日記には「春野菜のスパゲッティ、豆腐のスープ、インゲン豆のサラダをおいしくいただきました」と、昼のメニューについて書かれています。言葉は発したそばから宙に舞い、消えていきます。録音や文字記録のない限り、どのような言葉が語られたのかをたどることができません。したがって人間がいつから言葉を手にしたのかを証明するのは難しいのですが、少なくともわれわれサピエンスは、アフリカの大地に登場した時点で言葉を持っていたのではないか、と考えられています。吉田さんの日記には、几帳面な文字がびっしりと並びます。そこからは日々の暮らしが浮かびあがってきます。( 堤 隆)