関嶋 篤

せきじま あつし

 

1985 年生まれ 上水内郡飯綱町在住

 

関嶋さんは10 代の終わり頃から毎日欠かさず日記をつけている。A4 サイズの紙の上半分には絵が描かれ、下半分には文章が書かれている。すべて同じ様式で作られているが、一枚一枚違った色で塗り分けられていて、彼独自のルールが守られている。

 

 

「日記」
鉛筆、クレヨン、紙

 

 

2019年図録より

 

関嶋 篤さんは、日記を書き続けている。彼にとっては日々の当然の行いとして、毎日欠かさず繰り返され、蓄積されてきた日記は約18 年前から現在進行形で進められる。これらは《ぼくの日常》と名付けられた、シリーズとしての作品群であると同時に、ひとりの人間が文字と絵で日常を記録し続けた“行為” としての一大芸術表現である。

紙面の上半分が四角い枠で区切られ、下半分に縦書きの文章欄が設けられた最もシンプルな“絵日記” のスタイルである。日付と曜日、天気が書込まれたうえで、その日その日の記録として、日課、食事、遊戯、出来事が記されている。注目させられるのは、絵日記の“絵の部分” にあたる、独自の模様と、カラフルな色の塗り分けで埋め尽くされた画面である。一枚一枚を見ても力強い絵画であるが、ページをめくり連ねてみることで初めて、連続する絵に隠された文章との連動性があるように感じられる。そして何よりも、時間経過と共に進化していく表現の広がりを見てとれる。枠に納まりきらず溢れ出した色は画面全体を埋め尽くしていき、文字も同様に文章欄からはみ出し、イラスト枠に侵入し、紙の四辺を周り出す。絵日記という連続性を持つ媒体であったからこそ、表現の進化を辿ることができる。ついには従来の“絵日記”としてのスタイルを超え、関嶋さんの表現者としてのオリジナル画面が生まれたのだろう。(鈴木一)

 

 

 

「日記」2019

 

 

 

「日記」2019

 

主催  長野県 | ザワメキサポートセンター
共催  長野県教育委員会 | 信州アーツカウンシル(一般財団法人長野県文化振興事業団)
障害者芸術・文化祭のサテライト事業
長野県県民芸術祭2023 参加

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