宮川 明美
みやがわ あけみ
1965 年生まれ 北佐久郡軽井沢町在住
宮川さんは、部屋の窓がきちんと閉まっていなかったり、玄関の靴が整然と揃えられていなかったりすると機嫌が悪くなる。そんな彼女が絵を描く時は、画用紙の端から順に強い筆圧のクレヨンで塗りつくしていく。クレヨンの色の選び方にも、塗り方にも彼女のこだわりが強く感じられる。
「無題」
クレヨン、紙
宮川さんは12 歳で福祉施設に入所し、以後53 歳の今日に至るまで施設で生活している。何事もきちんとしていないと気がすまない性格で、履物が揃っていない、窓が閉まっていない事などへのこだわりが強い。だが、そのこだわりによって機嫌が悪くなってしまっても、クレヨンをグリグリ塗ると落ち着いて笑顔になる。自分でゆっくりと時間をかけてクレヨンの色を選び、画用紙を端からきっちり塗っていく。時々方向を変えながら塗りつぶしていき、全体が塗り終わると画用紙の裏面も同じように塗りつぶしていく。手慣れた様子で塗りつぶしている姿は小気味よく、職人技を観ているようだ。 一枚をすべて一色で塗る場合もあれば、二色、三色に塗り分ける場合もある。色の選び方や塗る面の分割の割合が独特で、彼女のこだわりが感じられる。すべて塗りつくした画用紙は半分に折り、さらに半分にと折り畳んでいき、手のひらに収まるくらいのサイズにまできちんと折ることで完成となる。それも彼女のこだわりのようだ。(大谷)
「無題」~2018