臼井 明夫
うすい あきお
1939 年生まれ 上田市在住
臼井さんは、散歩で見つけた花の写生をするようになったことがきっかけで、花の絵を描くようになった。その後、福祉施設で好きな女性のために花の絵を描き、彼女と一緒に過ごしていた。彼女が亡くなった後も花の絵の制作は続いた。今は臼井さんも彼女のもとへと旅立ってしまったが、今も一緒に花の絵を描いているだろうか?
「うすいろの花」
ボールペン、水性マーカー、色鉛筆、紙
臼井さんの花は画面の中心に茎があり、左右対称に花やつぼみ、葉っぱで埋め尽くすという独自のスタイルで描かれている。赤やピンク、黄色といった色で塗られた花の美しさは、見る者を圧倒する。花の絵は散歩で見つけた花を写生するようになったことから描き始めたそうだ。散歩での収穫は花の絵のモチーフだけではない。捨てられているダンボール、ペットボトルのキャップ、針金、ネジなどを拾ってきて「箱」の制作に用いる。この「箱」は定規などを一切使わず作られているが、ぴったりと引き出しや蓋の部分が閉まるようにできている。ひとつひとつ大きさやデザインが違い、随所に収納の工夫もあり、仕上げには花の絵と同じく赤やピンクなどの色紙が貼ってある。そして、臼井さんの創作活動の原動力は女性への想いである。以前は、好きな女性のために花の絵を描き、二人で一緒にその絵にちぎった色紙を貼るという日常を過ごしていた。その女性が亡くなった後も臼井さんは花の絵を描き続けている。現在は高齢のため以前のように制作が進まなくなっているが、絵画への制作意欲は旺盛なままだ。
「うすいろの花」 制作年不詳
「箱」 制作年不詳