新海 芽吹

しんがい いぶき

 

1997 年生まれ 佐久市在住

 

カラフルな糸で刺繍されている言葉とシンプルな図案は点線で繋がっていて、文字を読んでいくと、しりとりになっている。新海さんのオリジナルの単語には独特のユーモラスな響きがあり、刺繍されている図案もかわいらしく魅力的だ。

 

 

「刺繍しりとり」

刺繍

 

 

2017年図録より

 

養護学校高等部を卒業後、通所施設に通うようになって2 年目の新海さんは、当初は日中の作業として手織り作業をやっていた。しかし、手織りにはあまり熱心に取り組めてないことに気づいた職員が、アート活動の時間に楽しそうに絵を描いているのを見て、自分が描いた絵を布に刺繍することを提案した。その刺繍は絵しりとりになっており、絵の下には文字も刺繍されている。生地の端から端まで埋め尽くし、新しい生地に代わってもしりとりは続いていく。そのしりとりに登場する言葉はとても個性的で、見る者を飽きさせない。

例えば、自分で生み出したオリジナルの動物キャラクター「・(てん)・(てん)兎」、「ヤヤヤヤヤギ」などや、「山迷路(ジュラシックパーク)」、「魚味(うおあじ)の牛乳」など、想像が膨らむような言葉が登場する。「長野」と書いて“どーや”、「落等」と書いて“びら” と独自の読み仮名をつけるなど、彼女は非常に言語能力に長けているのが見て取れる。刺繍の図案はシンプルな線の組み合わせだが、言葉を的確な絵柄として表現しており、デザイン性も高い。この刺繍しりとりはどこまで続いていくのか、楽しみで仕方がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「刺繍しりとり」2016 2017

主催  長野県 | ザワメキサポートセンター

© ZAWAMEKI SUPPORT CENTER