清水 貴久
しみず たかひさ
1985 年生まれ 上田市在住
清水さんがゴミとして捨てられたペットボトルを支援員が見て、その値札が手描きだということに気付いた。いつからその行為が行われていたのかはわからない。そして、それはなぜなのかもわからない。ひとつだけ確かなのは、清水さんはゴミになった物を、価値のある作品へと変化させたことである。
「無題」
それはある日、偶然発見された。
人目をさけて、音をさけて、静かに部屋で過ごす事が多い清水さん。
清水さんのお弁当のゴミを職員が仕分けしているときに、 ペットボトルに貼られた値札のシールが手描きである事に偶然気づいた。その次も、その次もペットボトルには本物そっくりに書かれた値札が貼られていた。一体、いつからだったんだろうか? ペットボトル以外の物に貼ってあるのを見つけると職員は貴重だと言って喜んでいた。これは作品だろうか?おそらく本人にそのつもりはない。でもなんだろう。気づいたときに感じる驚きと、そしてその後の世界がほんの少しひっくり返る様なこの感触は?当たり前だと思っていた日常がこの小さな手描きの値札一枚によってそうではないのだと教えられた。とんでもない装置を思いついたもんだ。それも誰にも告げずに。きっと僕らの目は日常の細部へフォーカスする事を余儀なくされるだろう。そうする事が世界をより色鮮やかにしてくれる事を、清水さんは分かってたんだろうか?
「無題」制作年不詳