森田 博康

もりた ひろやす

 

1963 年生まれ 佐久市在住

 

福祉施設で生活している森田さんは、夜に自室でT シャツやズボンの縫い目を裂き、翌朝それを身に着けて堂々と出てくる。彼はなぜ服を破るのか、本人から答えを聞くことはできない。ただ、彼のその堂々とした着こなしは、私たちに何かを伝えようとしているように思える。

 

 

「無題」

 

 

2017年図録より

 

若者などが破れたデニムやT シャツをファッションとして着ることは特に珍しくもないが、福祉の現場では破衣行為は問題行動とされている。多くの研究者によってこのような問題行動にはコミュニケーションの機能があると論じられているそうだ。その理論からすれば、破衣行為は障がいのある人にとっての「コトバ」のようなものかもしれない。

私たちは言語を操り、他者とコミュニケーションをしている。障がいを持つ人の中には言葉でのコミュニケーションが難しい人も多く、森田さんもその一人である。森田さんは、ほぼ毎日自室で洋服を破り、それを着ることで他者とは違う自分を創造し、その「コトバ」で何かを伝えようとしている。社会がそれを不適当なものとして捉えているか否かに関わらず、今日も森田さんは、背部に穴の開いたT シャツと足の先が無くなった靴下を着こなし、堂々と表現している。

 

 

 

 

「無題」制作年不詳

主催  長野県 | ザワメキサポートセンター
共催  長野県教育委員会 | 信州アーツカウンシル(一般財団法人長野県文化振興事業団)
後援  松本市 | 東御市
全国障害者芸術・文化祭サテライト事業
長野県県民芸術祭2022参加

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