宮本 尚幸

みやもと なおゆき

 

1985 年生まれ 須坂市在住

 

アート活動の支援者の勧めで「般若心経」を書き写したところ、独特な文字表現によるこの作品が生まれた。文字の意味は理解していない宮本さんだが、リズミカルな文字からは読経が聞こえるようだ。

 

 

「無題」

墨、和紙

 

 

2017年図録より

 

墨あそびのアートワークでは、支援者が書いた文字を作者が書き写すのだが、最初に書き出す線を大きく書いてしまうので、見守る者には果たして紙面の中に収められるのかハラハラドキドキである。が、見事に収めてしまう。そのアンバランスなカタチはとてもオモシロイ。何より作者はこのときのサポートする者とのやり取りをニコニコと楽しんでいる。

この般若心経は、サポートする側に文字のネタが切れてしまい、『そうだ般若心経ならたくさん漢字があるぞ!』と、そんな姑息な発想から書いていただいたものだ。『そんな軽々しいものではない!』と叱られそうだが、お経はその文字の意味よりも、唱える調子、一種の音楽的な響きが大事なんだとも言われる。作者の発する言葉はほとんど聞き取れず意味がなかなか伝わらない。しかし、お経を唱えるように心地いいのである。276 文字が並べられたこの空間からは何とも、心地いい響きが聞こえてきそうだ。

 

 

 

 

「無題」2017

主催  長野県 | ザワメキサポートセンター
共催  長野県教育委員会 | 信州アーツカウンシル(一般財団法人長野県文化振興事業団)
障害者芸術・文化祭のサテライト事業
長野県県民芸術祭2023 参加

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