南茂 義明
なんも よしあき
1963 年生まれ 北佐久郡軽井沢町在住
南茂さんは、子供の頃から毎日ノートにボールペンで線を書いてきた。生活する福祉施設で行われているアート活動で、ボールペンを筆に変え、現在ではキャンバスに油絵の具で線を描くようになった。彼は、作品が評価されることよりも、線を引く行為を続けることで喜びを得ているようだ。
「無題」
油絵の具、キャンバス
ノートのどのページにも、端から端までボールペンで無数に線が書き込まれている。 その線は定規を使ったように平行で1ページずつ丹念に線が描かれており、時にはマジックペン、色鉛筆、クレヨンなどを使い、色もカラフルだ。 時折リズミカルな丸が描かれているページもある。あまりにも線が重なっている部分は穴が空き、破れて炭化したように見えるほど執拗だ。 7 歳から障がい者支援施設で生活している南茂さんは、子供の頃から日々の仕事のようにノートへの線引きを続けている。 平成23 年から施設内で発足したアート活動の場「アトリエぽっけ」に参加するようになり、ノートを紙やキャンバスに変えて様々な画材で線を描くようになった。 最近では油絵の具でキャンバスに線を描いている。言葉のコミュニケーションができない彼だが、筆がキャンバスの端に到達して段差をとらえた時になんともいえない満ち足りた笑顔を返してくれる。 油絵の具をチューブから出す作業は支援員に手伝ってもらうが、色は自分で選び、気が向かない色を示すと声を出して抗議するなど、その時々の感情が色に現れているように思える。