栗原勝之
くりはら かつゆき
1970 年生まれ 北佐久郡立科町在住
栗原さんの作品には、彼が熱中するロールプレイング・ゲームの仮想空間と、現実に生きる世界が融合したような不思議な魅力がある。最近よく描くようになった仏像の絵は、黒一色の無数の線で細かくびっしりと画面が埋め尽くされ荘厳にさえ感じるが、どこかユーモラスでもある。彼の作品には特有のバランスがあるようだ。
左から
「動物」 「顔」( 陶芸) 「仏像」 「顔」
油性マーカー、アクリル絵の具、画用紙 / 陶芸
様々な色彩でブロック状に塗り分けられた画面の鮮やかさや、黒の線だけで細かくびっしりと埋め尽くされた画面に圧倒されて一瞬では把握できなかった情報が、だんだん目が慣れていくにつれ車や建物、動物、人の顔なのだとわかってくる。 栗原さんの絵の中には、生まれ育った東京と現在彼が生活する障がい者支援施設のある立科町が混在したような風景や、大好きなロールプレイングゲームに通じる仮想現実の世界を感じる。 どこかにありそうでどこにもない不思議な場所や、夢で見た物のようなつかみどころのない不思議な魅力がある。画面の中には物語があり、見る者に様々な想像をさせてくれる作品である。 寡黙な栗原さんからはそれらをなぜ描くのかを聞き出すことはできないが、熱心に机に向かって休むことなく丁寧に描き続けている姿を見ると、ゲームと同じくらい好きな時間なのだということがわかる。 また、施設内で行っている陶芸制作でも個性的な作品を多く制作しており、動物の毛の描写や土器のパーツの細かさに絵画に通じる丁寧さを感じることができる。