鈴木 陽太

すずき ようた

 

1992 年生まれ 茅野市在住

 

鈴木さんは寝転がって大地に触れ、風を感じ、粘土を握り、こねて造形物を作り出す。その粘土についた彼の指跡が作品だというだけではなく、彼の存在そのものがアートだと言えよう。

 

 

 

 

2019年図録より

 

作者がグニュっと握った紙粘土の塊に枯れ草が張り付いている。何か具体物を表現しようと意図したものではない、あたかも作者が「これは何だ!」と感触で探ったかのような粘土の塊。

作者をひと言で言い表すなら「大地のヒト」。日々通所する福祉事業所ではにぎやかなところが苦手で、敷地内を裸足で自由に歩き回り、地面に耳をつけて、土の冷たさや温かさ、そして聞こえてくるのかもしれない響きを感じ、拾った草をひらひらさせて風を感じ、落ちているものを拾っては手で、時には口に入れてその感触を確かめているかのようだ。いや、大地からの自然からの何らかの信号を全身の感覚で感じ取っているかのようだ。人とのコミュニケーションもスキンシップ。一人テラスに座って、外の風景をじっと見入っている。

後ろ姿は、まさに大地、自然と何かの交信をしているのかもしれない、と想像せずにはいられない。そんな普段の作者の姿を知ることで、はじめてこの何でもないような紙粘土の塊が、遠い遠い昔、人間が原始感覚の世界で自分を取り巻く自然との対話をしていた世界に通じるものを感じたのは、私だけだろうか?(関)

 

 

 

「無題」2019

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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