濱 克治

はま かつじ

 

1972 年生まれ 駒ヶ根市在住

 

濱さんは、ある時期からクレヨンで描いた乗り物の絵の上に、たっぷりと水彩絵の具を塗っていくようになった。クレヨンの部分がぼんやりと浮かんでくるが、下に描かれた物の形は、はっきりとはわからない。彼の画法はふとしたきっかけで変化していくが、基本的にいつでも絵を描くことを楽しんでいる。

 

 

「のりもの」
クレヨン、水彩絵の具、紙

 

 

2019年図録より

 

作者は以前からクレヨンや色鉛筆で車の絵を描いていた。「のりものダイスキ!」なのだろう。最近絵の具という画材を使ったら、という提案がされ、それ以来たっぷりの絵の具を塗り重ねることを楽しみ出した。まずは乗り物図鑑を見て、画用紙に向かい、クレヨンでのりものの形を描き、その上に筆にたっぷり含ませた絵の具を塗っていく。ふつう私たちは下絵に描かれた形の輪郭に沿って丁寧に絵の具を塗るのだが、作者はそんなことはお構いなしだ。絵の具の下に何が描かれているのかはわからくなってしまう。

制作している作者の表情は、「これに乗ってどこ行こう? そうだ、○○へ行こう!」とワクワクと想い描いているかのように嬉々としている。以前行ったことのある楽しかった風景を思い出しているのかもしれない。自分で決めて自由に行きたいところへ行きたくとも、なかなかままならないからこそ、「クルマニノッテ・・・」の想いは強いのだろう。

たっぷりと塗られた絵の具の混じりあい、クレヨンによって弾かれた風景が不思議な世界を見せている。そしてこの絵の具の下には何が隠れているのか、と想像を掻き立てる。(関)

 

 

 

「のりもの」2019

 

 

 

 

「のりもの」2019

 

主催  長野県 | ザワメキサポートセンター
共催  長野県教育委員会 | 信州アーツカウンシル(一般財団法人長野県文化振興事業団)
障害者芸術・文化祭のサテライト事業
長野県県民芸術祭2023 参加

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