小池 功一

こいけ こういち

 

1963 年生まれ 北佐久郡軽井沢町在住

 

小池さんは16 歳の頃から福祉施設で生活していた。若い頃からカレンダーを手作りして、母との面会、実家に泊まる日などの予定を記していた。その後、ダンボールの土台に予定が書かれたメモを貼り付けるようになった。重みに耐えられなくなるまで紙を重ねられたカレンダー作りは、彼が亡くなる直前まで毎日の日課であった。

 

 

 

「カレンダー」
ダンボール、紙、糊、鉛筆、ボールペン

 

 

2019年図録より

 

これはカレンダーである。その日の予定や着る服、食べたい物などが書かれた紙が、ダンボールの台紙に糊で貼り付けられている。べっとりと糊をつけて貼り重ねてあるので、分厚いところでは10 センチくらいの厚みのある塊となっている。それに吊り紐をつけて壁に掛けてもらっているので、小池さんはいつでもそのカレンダーを見ることができる。以前から毎月のカレンダーを手書きし、スケジュールを書き込んでいた。そこには、お母さんがハガキに書いて送ってくれる施設に迎えに来てくれる日や、ドライブや映画鑑賞などの施設の行事、あんパン(を買いに行く)、ガチャンコーヒー(自動販売機で缶コーヒーを買う)といった言葉が書かれていた。小池さんはこの2 年ほどの間に歩行が困難になり、文字や数字も以前のようには書けなくなった。昔は日付と曜日を暗記していて、○年○月○日は○曜日と正確に言うことができていたらしいが、最近では判読できない線のようなものしか書けない。16 歳から福祉施設で40 年間を過ごしている小池さんが、いつからカレンダーを作っているのかわからないが、相当昔からのようだ。カレンダー作りへの熱意は今も変わらず、スケジュール(のようなもの)を書いた紙をダンボールの台紙に貼る作業は小池さんの日課となっている。しっかりと糊付けされた紙一枚一枚には小池さんの人生が詰まっているようで、実際の重さ以上の重みを感じる。(大谷)

 

 

「カレンダー」2018

 

 

主催  長野県 | ザワメキサポートセンター
共催  長野県教育委員会 | 信州アーツカウンシル(一般財団法人長野県文化振興事業団)
障害者芸術・文化祭のサテライト事業
長野県県民芸術祭2023 参加

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