小山 莉子
こやま りこ
2006 年生まれ 上田市在住
小山さんが作った教室には、たくさんの机と椅子が並んでいる。黒板を背にした先生も席に着いている生徒たちも笑顔だ。彼女は聴覚過敏などがあり、多くの生徒と同じ教室にいるのが難しい時期もあったが、この紙でできた教室を見ると学校が好きで、そこにいたいという願望を感じる。
奥から
「私の学校」 「給食」
画用紙、水彩マーカー、糊
2019年図録より
小山さんの作品は学校の建物を上から覗き込む建築模型のような立体作品だ。画用紙を切って糊で貼り付けているが、糊代の部分がないので、接着は空間を糊で埋める方法がとられている。教室の中には1cm 四方くらいの机が整然と並んでいて、席についている画用紙でできた生徒たちは笑顔で黒板の方を向いている。そして教室の隣には清潔なトイレが併設されている。小山さんの作品からは彼女がどれほど学校を好きなのかが伝わってくる。
彼女が通う中学校はコンクリート打ち放しの格好いい校舎で、小学生の頃からこの中学校に行くことに憧れていたそうだ。だが、本人に尋ねると自分の通っている学校ではなく、「妄想」した学校を作ったのだそうだ。
小山さんは、キレイな物やカワイイ物が大好きな“女子” だ。校舎だけでなく画用紙で立体的に作った給食や、友達や自分をアイドルと想定して作った紙のフィギュア、スウィーツのレシピ本など、女子力を発揮した発想でカラフルなカワイイ物をたくさん制作している。そういった創作のアイディアは、楽しい学校生活の中でどんどん生まれている。彼女が作る学校は美しく素敵な場所で、思春期の少女のキラキラした想いがつまっている。(大谷)
「私の学校」2018
「私の給食」2018