永田 晴樹

ながた はるき

 

1976 年生まれ 茅野市在住

 

ある日のアート活動の時間に、永田さんは画用紙の四隅をちぎり、どんどん破っていって、水をたっぷり含ませた筆で濡らし、更に絵の具を塗り始めた。それは、それまで形のあるものを作っていなかった彼が、何かを作るという意識が芽生えた瞬間だ。そしてできあがったのは、宝石の原石のような美しい紙片だった。

 

 

「無題」
水彩絵の具、紙

 

 

2019年図録より

 

作者は、常に何かに追い立てられるように自分の目につくものを整理し、片づけようとする。時にそれは困った行動に思われてしまうが、そうせずにはいられないのだろう。机上のものはあるべき場所に戻し、目につくものを忙しく片付ける姿。時には、だれも気づかないほどの小さなごみを拾っては、自分の視野から消さずにはいられないかのように捨てている。

通所する福祉事業所のアートの時間では、最初は画用紙にクレヨンでぐりぐりと色を塗っては、細かく破いて捨てることを繰り返していたが、ある時、画用紙の周辺をちぎり始め、残った部分を筆に水をたっぷりと含ませて濡らし、さらに絵の具を塗り始めた。そして何度も塗り重ねたその紙片をそばで見守っていた支援者にふと渡してくれた。それまでは破いて捨てるという自分だけで完結してしまう一連の行動から、他者に自分の表現を手渡した始まりである。それ以来このような表現方法が続いている。そして少しずつ画用紙の周囲をちぎる形も変化している。残されたこの紙片は、まるで地中から掘り出された宝石の原石のようだ。(関)

 

 

 

 

 

 

 

「無題」2019

 

「東京2020 NIPPONフェスティバル」共催プログラム
信州・アート・リングス ~文化でつながる。文化を創る。そして美しい未来へ~

長野県では、(公財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と
「東京2020 NIPPONフェスティバル」共催プログラムを開催します。
長野県の魅力ある文化プログラムをお楽しみください。

東京2020 NIPPONフェスティバル

主催-長野県/長野県教育委員会/ 信州ザワメキアート展2021 実行委員会
共催- (公財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 / 茅野市美術館
長野県 令和3年度 障がい者の芸術作品展開催事業
長野県県民芸術祭2021参加

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