石田 真彦
いしだま さひこ
1990 年生まれ 下伊那郡阿智村在住
石田さんは身の回りにある衣服や靴、本などを並べて、自分が目にした光景を再現する。日常の楽しい出来事もあれば、不満をぶつけているような場面もある。彼の支援者は、そのインスタレーションを「床アート」と呼び、写真に記録してきた。またその行為は、パフォーマンス・アートでもある。
通所する福祉事業所で、外出(散歩・ドライブ)、アート活動を楽しんでいる。アートでは、しりとりや漢字から連想する絵をホワイトボードに描いたり、牛乳パックで作った造形も好きである。それを使った紙相撲やカードで一人遊びをするのが日課。そんな中、6 年ほど前から、作者は急に“思い付いた”といったしぐさを見せ、事業所内にある服や、小間物などを集めてきては床の上に並べ始める。どうやら人物を表現しているらしい。それも二体並べている。またホワイトボードやカードにも思い浮かぶイメージを描いてもいる。
作者は事業所では明るく元気にふるまっているが、日常よくある家族や事業所の仲間との楽しいこと、嫌なことなど、思い浮かぶ情景をこのような形で表現しているらしい。男女らしき二人の人物はよく見れば、手をつなごうとしているようでもあり、また不満をぶつけるようにパンチを繰り出しているようにも見られる。絵画のように残される作品ではなく、ホワイトボードに描かれる絵もしかり、このような床アートも片づけられて消えてしまう表現であることにも興味が湧く。
床アート ( インスタレーション)