宮入 公一

みやいり こういち

 

1959 年生まれ 松本市在住

 

宮入さんは、使い古されたタオルや布を糸できつく縫い固めていく。その塊の表面は、何度も往復した糸で覆われている。硬く縫い固められたそれらは生命体を連想させる有機的な形である。

 

 

写真:右側

「イキモノたち」

タオル、布、糸

 

 

2017年図録より

 

柔らかそうなタオル生地に糸が縫い込められているかのようだが、実際にはとても固く、固く縫い縛られている。そしてそこにある物体は、不思議なイキモノがうごめいているようにも見える。

作者は福祉施設で暮らしながら、若いころは陶芸作業など活動的なことができていたが、現在は決まった作業もなくのんびりした時間を過ごしている。そんな中で、身近にある古くなったタオルを手でぎゅうぎゅうに固め、以前縫製作業で使われていて残っている糸を縫い込んで、不思議なカタチを創り出している。自由に使える材料も限られているが、そういった制限があるからこそ、素材をいとおしむように、手の中で工夫しながら形を創り出しているのかもしれない。そして若いころはもっと様々なことで活躍していた自分、これまで紡いできたモノガタリも縫い込まれているかのようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「イキモノたち」制作年不詳

主催  長野県 | ザワメキサポートセンター
共催  長野県教育委員会 | 信州アーツカウンシル(一般財団法人長野県文化振興事業団)
障害者芸術・文化祭のサテライト事業
長野県県民芸術祭2023 参加

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