佐藤 元子

Motoko Sato

 

1954年生まれ 飯田市在住

 

 

水 Water

 

佐藤さんは、セロハンテープを丸めて積み重ねていく。透明なセロハンテープはふわっとした塊となり、キラキラと輝いて見える。その行為は幼少時に始まったようだが、特にお母さんが出かけて一人で家にいる時に行っていたようだ。

Sato rolls up the cellophane tape and piles it up. The transparent cellophane tape becomes a fluffy lump and glitters. The behavior seems to have started as a child, especially when her mother went out and she had to stay at home alone.

 

 

無題:セロハンテープ
Untitled: cellophane tape

 

 

日々 Daily life

 

長年母と二人暮らしだった佐藤さん、母が亡くなりそれまで離れて暮らしていた姉と暮らす事になった。姉は妹の世話をするのが第二の人生だと考えて彼女中心の暮らしを始めた。当事者の会に出かけたり、妹のために健康でおいしい食事を工夫したり。でも佐藤さんには姉の愛が時には重く感じて、夜遅くまで眠れずにセロテープを丸めて重ねる行為を繰り返していた。ある時姉が入院する事になり、佐藤さんは姉から離れてショートステイを経験する。優しい男性職員に出会って大好きになったり、家では出来なかった自分らしいおしゃれにも目覚める事になる。また姉も自分の幸せにも目を向けるきっかけになった。現在姉妹はちょうどいい距離感を見つけて暮らしている。眠れずにセロテープを丸めることはもうない。セロテープは愛着を象徴しているという。テープをぐるぐる巻きにして愛着を表現する利用者さんは多いが、彼女のように、空気をいっぱいため込んだ雲のようなセロテープを作る人は珍しい。それは強すぎる関係でなく、ちょうどいい距離感で結ばれていたいという彼女の気持ちを表していたのかもしれない。

(支援者 社会福祉法人 明星会 明星学園 正村 美千枝)

主催  長野県 | ザワメキサポートセンター

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