風間 直子
かざま なおこ
1970 年生まれ 長野市在住
風間さんは摂食障害で、中学校3 年生の頃から30 年間入退院を繰り返している。絵を描くのが好きで、描いている時間は病気のことが忘れられるという。彼女の作品は、一見すると画面が真っ白で何も描かれていないように見えるほど薄く描かれている。
左から 「花」 「柿」 「なす」 鉛筆、色鉛筆、画用紙
今にも消えてしまいそうな作品の数々。じっくりと目を凝らさないと何が描いてあるのかわからないほど、薄い。重度の摂食障害で、中3 の冬から30 年以上入退院を繰り返しているという風間さん。元々、絵が好きで絵画教室にも通っていたそうだが、「昔、下手って言われたど、とにかく描きたくなっちゃう。描くのは疲れるけど、描いていれば病気のことも忘れられる」と話す。7Hの鉛筆でデッサンをしたのち、色鉛筆で薄く色付けをするという控え目な作風は、こういった彼女の原体験から生まれたのだろう。作品のモチーフは庭に咲く花や木々、野菜、果物など。時には家族や支援者が持参したものを描くこともあるそうだ。取材時にはその1 枚1 枚の作品にまつわる思い出を語ってくれた。スケッチブックの数ある作品の中から「クリスマスローズ」に目を引かれた。この花は華やかな名前を反して、半日陰を好み、下向き加減にひっそりと花を咲かせるそうだ。風間さんは今日もひっそりと、誰にも気づかれないような薄さで絵を描き続けている。(中村)
「クリスマスローズ」2018