太田 論理
おおた ろんり
1966 年生まれ 長野市在住
太田さんの作品はオリジナル小説とそれに基づく地図である。小説には彼の奥さんをはじめ、彼の周りの人が登場している。だが、内容は日常とは違い、壮大な物語である。彼は生きるにふさわしいもうひとつの世界を創造しているのだ。
「翻緑世界全図」(左) 「文論島地形及び交通の図」(右上) 小説「五種の神器」梗概( 右下)
色鉛筆、ボールペン、紙(左・右上)
2018年図録より
「翻緑世界全図」は、太田さんが執筆中の長編小説「五種の神器」の舞台である。自分の世界と周囲の人々との関わりを、物語にしてみようと想像しているうちに浮かんできて、下書きもなく描き上げたのだという。
時代をさかのぼったような地図の、中央を走る飜緑山脈を挟む形で「満里奈皇国( まりなこうこく)」と「ブルーストーン王国」がある。この国の名前や記号も独特で、橋の形は「渡し舟」なのだ。そして犀川、木崎、船平山・・・マチス、ロレンス、メロディーラブ…たどっていくと知っている絵画や文学、音楽に、記憶の断片がまざりあって、小説とは別の、観るがわ個人の景色が広がってゆく。物語は、満里奈皇国の安定をめざす3 代目皇帝・文香(ふみか)の成長を軸に、国家の安定をめざす壮大な歴史冒険ファンタジーである。
一方の「文論島地形及び交通の図」には、緑と茶色の痛山( いたやま) を囲んで文都( ぶんと)、文水( ぶんすい)、江論始( こうろんはじめ) があり、右の背釦( せぼたん) 街道を越えると食指湖( しょくしこ)などというのもある。この暗号めいた標記の数々、これはもしや宝物の隠し場所かも…と勝手な興味がわいてきて、謎解きの旅をしてみたくなる。
2 枚の地図上にある翻緑大陸と文論島について作者は、「直接の関わりはないのだが、広い海のどこかで繋がっているのかもしれない。」という。(坂田)
小説「五種の神器(じんぎ)」梗概(こうがい)原稿 2017 ~
「翻緑世界全図( はんりょくせかいぜんず) / e World Map of Greeneld」 2017