大貫 実

おおぬき みのる

 

1964 年生まれ 北佐久郡立科町在住

 

 

大貫さんが描くのは、何万年も前の洞窟壁画を彷彿とする生き生きとした動物の絵だ。対象物の特徴を捉えており、動物の毛や鳥の羽などはとても丁寧に描かれている。顔や手足の部分がデフォルメされていたり、体の一部は塗りつぶさず白い部分を残してあったりするなど、見る者を飽きさせない魅力に溢れた絵だ。
福祉施設で暮らす大貫さんは、大勢の人といるのが苦手だ。施設では烏骨鶏の卵を採卵して磨くのが毎日の日課であり仕事である。卵を丁寧に黙々と磨く姿を見て、担当職員が施設内のアート活動への参加を勧めたことが絵を描くようになったきっかけだが、多くの参加者と広い部屋で過ごすのは苦手なため、一人だけ壁に向かった狭いスペースで描いている。様々な画材を試してみた結果、竹のペンを使って墨一色で描くことが一番しっくりくるようで、何度も描くうちに現在のスタイルが確立された。アート活動には積極的に参加しており、絵をほめられると恥ずかしそうにニコニコとしている。先史時代の洞窟壁画は様々な解釈がある中で、当時の人の集団の中でのコミュニケーション手段だったとも考えられているが、大貫さんにとっても絵を描くことは他者とのコミュニケーションのための行為なのかもしれない。(大谷)

 

 

「無題」2017